照応表現の指示は、その表現が現れる文脈内で一意に規定されなけれ ばならない。そこでRanta(1991)は、代名詞を擬似的に範疇化される表現と見なし、照応の依存領域に関する生成方法を問題にした。文脈内で形成される命題は、変項が文脈において自由に出現することを認めている。つまり、タイプ理論と同様に命題の力によって、さらに命題を形成するために、照応の依存関係や前提が所与の命題の真理値を予め仮定することができると考えている。
文は、命題ではなく形式の判断である。個々の命題は、先行する文脈に依存し、テキストは、形式の文脈として表現される。その際、文に対する証明は、一般的に定項ではなく、変項として生成される。直感主義論理は、テキストのダイナミズムを処理するためにこのような方法を採用している。
花村嘉英(2005)「計算文学入門-Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」より