ヴァイスゲルバーから日本語教育を再考する10


C 分析の組

 さらに、テーマを分析するための分析の組が必要である。例えば、ボトムアップとトップダウン、理論と実践、一般と特殊、言語情報と非言語情報、強と弱など。

表2
分析の組                   説明
ボトムアップとトップダウン:専門の詳細情報から概略的なものへ移行する方法。及び、全体を整える概略的な情報から詳細なものへ移行する方法。
理論と実践 :すべての研究分野で取るべき分析方法。言語分析については、モンターギュの論理文法が理論で、翻訳のトレーニングが実践になる。
一般と特殊:小説を扱うときに、一般の読みと特殊な読みを想定する。前者は受容の読みであり、後者は共生の読みである。
言語情報と非言語情報:前者は言語により伝達される情報、後者はジェスチャーのような非言語情報である。
強と弱:組の構成要素は同じレベルでなくてもよい。両方とも強にすると、同じ組に固執するため、テーマを展開させにくくなる。
論理計算と統計:計算文学というと、情報科学の専門家が購読脳を分析するために数理やコンピューティングを駆使して研究するイメージがある。しかし、人文から寄せる計算文学は、購読脳と執筆脳を調節する論理計算やデータベースの統計処理が分析のツールである。

 日頃からこのような調節をしながら、トーマス・マンの「魔の山」、魯迅の「狂人日記」や「阿Q正伝」、森鴎外の「山椒大夫」や「佐橋甚五郎」及びナディン・ゴーディマの“The Late Bourgeois World”についてLのストーリーを作成した。
 テキスト共生に通じるには、文と理で語彙、統語論、テキストが調節できるようにならなければならない。そのために容易に応用ができる場の理論などで言語の研究から文理の共生を目指し、日々前を向いて勉強するとよい。

花村嘉英(2018)「ヴァイスゲルバーから日本語教育を再考する」より

シナジーのメタファー1


“ヴァイスゲルバーから日本語教育を再考する10” への2件のフィードバック

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