直感主義論理に基づいた簡単なドイツ語の文法を考察する。レキシコンは、基本表現に範疇を割り当てていく。範疇文法は、直感主義のタイプ理論を形式化する規則である。そしてシュガーリングの規則は、形式化された表現がドイツ語として認知される語彙の連鎖を返す。
Ranta (1991)の文法とMontague文法の違いは、前者がシュガーリングと意味の説明の基礎となる表現を形式化しているにすぎない点である。Montague文法は、①基本表現を分析榭に結合させ、②分析樹を単純な文にシュガーリングするといった二重構造になっている。
レキシコンを考察しよう。普通名詞、固有名詞、動詞および形容詞が範疇化される。語彙登録は、シュガーリングのパターン(N0、V1、A1)を示している。レキシコンを持つことによって、名詞の集合や動詞の関数が定義され、上述した∑、∏、pair、λ、p、q、apといった演算子もそこに含まれる。さらに、SとNという演算子が導入される。これらは、タイプ理論の命題表現を変数として取り、文章と名詞を返す。
花村嘉英(2005)「計算文学入門-Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか?」より