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  • ハインリッヒ・マンの「Die Branzilla」で執筆脳を考える6

    【連想分析2】

    表3 情報の認知

    A 表2と同じ。情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 2、人工知能 1
    B 表2と同じ。情報の認知1 3、情報の認知2 1、情報の認知3 2、人工知能 1
    C 表2と同じ。情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 2、人工知能 1
    D 表2と同じ。情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 2、人工知能 1
    E 表2と同じ。情報の認知1 3、情報の認知2 2、情報の認知3 1、人工知能 1

    分析例
    (1)「Die Branzilla」執筆時のハインリヒ・マンの脳の活動を「多層とニューラルネットワーク」と考えている。彼の文体は、人間の世界が繁栄と滅亡において社会的政治的存在に規定された種として構成され、政治、芸術そして人間的なものを幾重にも結びつけるすべを心得ているといわている。
    (2)情報の認知1(感覚情報)
    感覚器官からの情報に注目することから、対象の捉え方が問題になる。また、記憶に基づく感情は、扁桃体と関係しているため、条件反射で無意識に素振りに出てしまう。このプロセルのカラムの特徴は、①ベースとプロファイル、②グループ化、③その他の反応である。
    (3)情報の認知2(記憶と学習)
    外部からの情報を既存の知識構造へ組み込む。この新しい知識はスキーマと呼ばれ、既存の情報と共通する特徴を持っている。また、未知の情報はカテゴリー化されて、経験を通した学習につながる。このプロセルのカラムの特徴は、①旧情報、②新情報である。
    (4)情報の認知3(計画、問題解決)  
    受け取った情報は、計画を立てるプロセスでも役に立つ。その際、目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。しかし、獲得した情報が完全でない場合は、推論が必要になる。このプロセルのカラムの特徴は、①計画から問題解決へ、②問題未解決から推論へ、である。  
    (5)人工知能1 執筆脳を「多層とニューラルネットワーク」としているため、社会の問題の表出が重要となり、そこに専門家としての調節が効力を発揮する。①多層、②ニューラル、③その他

    花村嘉英(2020)「ハインリッヒ・マンの『Die Branzilla』の執筆脳について」より

  • ハインリッヒ・マンの「Die Branzilla」で執筆脳を考える5

    分析例
    (1)歌う怪物が芸術を憎む場面。  
    (2)文法2 テンスとアスペクト、1は現在形、2は過去形、3は未来形、4は現在進行形、5は現在完了形、6は過去進行形、7は過去完了形。 
    (3)意味1 1視覚、2聴覚、3味覚、4嗅覚、5触覚、意味2 喜怒哀楽、意味3 振舞いの1直示と2隠喩、意味4多重性 1あり2なし。 

    テキスト共生の公式
    (1)言語の認知による購読脳の組み合わせを「真の人間性と多重性」にする。
    (2)文法1のテンスとアスペクトや意味2の五感には、一応ダイナミズムがある。また、連想分析1の各行の「真の人間性と多重性」を次のように特定する。
      
    A真の人間性と多重性=テンスは現在形+過去形、視覚+触覚、哀、直示、多重性あり。   
    B真の人間性と多重性=テンスは過去形、視覚、哀、直示、多重性あり。     
    C真の人間性と多重性=テンスは未来形+現在完了、視覚+聴覚、哀、直示、多重性あり。 
    D真の人間性と多重性=テンスは過去形+現在完了、視覚、喜、隠喩、多重性あり。
    E真の人間性と多重性=テンスは過去形、視覚、喜、直示、多重性あり。
     
    結果 上記場面は、「真の人間性と多重性」という購読脳の条件を満たしている。

    花村嘉英(2020)「ハインリッヒ・マンの『Die Branzilla』の執筆脳について」より

  • ハインリッヒ・マンの「Die Branzilla」で執筆脳を考える4

    表2 言語の認知(文法と意味)

    歌う怪物は芸術を憎む

    A Die Tochter nahm den Alten beim Arm. “Draußen stehen deine alten Freunde, Papa. Sie getrauen sich nicht herein, aus Furcht vor Mama. Geh mit ihnen ins Wirtshaus; da ist Geld – und bleibe nur dort, bis ich dich zurückhole. Wenn ich dich zurückhole, armer Alter, wird der Wein dich lustug gemacht haben.”
    文法2 1+2、意味1 1+5、意味2 3、意味3 1、意味4 1

    B “Ich fürchte, Tochter, daß kein Wein mehr mich lustig macht.” Die Tochter kehrte zurück, die Hände auf den Hüfte, Die Branzilla erwartete sie scheu. 文法2 2、意味1 1、意味2 3、意味3 1、意味4 1

    C “Schön hast du ihn zugerichtet! Hex! Von deiner Bosheit wird man länger reden als von deiner Kunst. Jetzt duckst du dich, denn ich bin breit und rot. Den schwachen Alten aber wirst du noch zu Tode quälen.
    文法2 3+4、意味1 1、意味2 3、意味3 1、意味4 1

    D Oh! Menschelichkeit hast du nie gekannt. Was tatest du mit ihr, als ich jung war; wie verdarbst du elend mein Leben! Ich liebte, und ich ward geliebt. Heute könnte ich glücklich sein. Ich könnte Kinder haben. Nun aber lebe ich allein, in Gasthauszimmern, unter Fremden.  
    文法2 2+4、意味1 1、意味2 1、意味3 2、意味4 1

    E Das ist dein Werk. Ich sollte nicht heiraten, du wolltest mich nicht wie die anderen Mädchen. Als ein Monstrum wolltest du mich, als ein singendes Monstrum. Ich hasse die Kunst, die du mich lehrtest!”
    文法2 2、意味1 1、意味2 2、意味3 1、意味4 1

    花村嘉英(2020)「ハインリッヒ・マンの『Die Branzilla』の執筆脳について」より

  • ハインリッヒ・マンの「Die Branzilla」で執筆脳を考える3

    3 データベースの作成・分析

     データベースの作成法について説明する。エクセルのデータについては、列の前半(文法1から意味5)が構文や意味の解析データ、後半(医学情報から人工知能)が理系に寄せる生成のデータである。一応、L(受容と共生)を反映している。データベースの数字は、登場人物を動かしながら考えている。
     こうしたデータベースを作る場合、共生のカラムの設定が難しい。受容はそれぞれの言語ごとに構文と意味を解析し、何かの組を作ればよい。しかし、共生は作家の知的財産に基づいた脳の活動が問題になるため、作家ごとにカラムが変わる。 

    表1 「Die Branzilla」のデータベースのカラム
    文法1 態  能動、受動、使役。
    文法2 時制、相  現在、過去、未来、進行形、完了形。
    文法3 様相  可能、推量、義務、必然。
    意味1  五感  視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚。
    意味2  喜怒哀楽 喜怒哀楽と記事なし。
    意味3  振舞い ジェスチャー、身振り。直示と隠喩を考える。
    意味4 多重性 あり、なし。
    医学情報 病跡学との接点 受容と共生の共有点。構文や意味の解析から得た組「真の人間性と多重性」と病跡学でリンクを張るためにメディカル情報を置く。
    記憶 短期、作業記憶、長期(陳述と非陳述) 作品から読み取れる記憶を拾う。長期記憶は陳述と非陳述に分類される。
    情報の
    認知1 感覚情報の捉え方 感覚器官からの情報に注目するため、対象の捉え方が問題になる。例えば、ベースとプロファイルやグループ化またはその他の反応。
    情報の
    認知2 記憶と学習 外部からの情報を既存の知識構造に組み込む。その際、未知の情報は、学習につながるためカテゴリー化する。記憶の型として、短期、作業記憶、長期を考える。
    情報の認知3 計画、問題解決、推論 受け取った情報は、計画を立てるときにも役に立つ。目的に応じて問題を分析し、解決策を探っていく。獲得した情報が完全でない場合、推論が必要になる。
    人工知能 多層とニューラルネットワーク エキスパートシステム 多層の神経回路網のこと。ニューロンがあり、それを結合したネットワークがあり、入力層、隠れ層、出力層という3層からなっている。各層は、多数のパーセプトロンが結合している。

    花村嘉英(2020)「ハインリッヒ・マンの『Die Branzilla』の執筆脳について」より

  • ハインリッヒ・マンの「Die Branzilla」で執筆脳を考える2

    2 ハインリヒ・マンの「Die Branzilla」のLのストーリー

     北ドイツのリューベックで生まれ、亡命の地カリフォルニアで亡くなったハインリヒ・マン(1871-1950)は、強みが短編小説にあり、気質や才能から経歴については、気まぐれな表現に予め定められていた。例えば、三分間ローマンスは、出来事の短縮がとても強く、Weisstein(1981)によると、読者を巻き添えにして引き裂くため、心理的な作用を強く否定している。
     ブランツィッラは、単なる冷静な熱中以外の何も認識しない。精神は技術から成長するというコメディアンのパラドックスのような響きがある。実際に人形のように歌う。ハインリヒ・マンにとって、実際の体験は、数か月により衛生や長波により浄化され冷やされねばならない。生活の傍観者としてのみ芸術家は価値がある。三分間ローマンスの主人公は、彼の孤独を破壊し彼に現実を授ける権利を誰にも与えない。
     ブランツィッラの真の敵は、ウリッセ・カバッツァーロである。舞台に立つときは、生活の中にあるも、女性やアルコールに浪費したことが価値ある声や目の輝きを台無しにした。ブランツィッラが怠惰なドンファンカバッツァーロに会ったとき、女性の本能が目覚めた。憎しみが愛に変わることはなく、ウリッセから解放されたブランツィッラにとり、人情を包むことは不可能であった。ハインリヒ・マンにより別の所で強烈に宣伝された、悪物の対話術にもはや支配されなかった。ハインリヒ・マンが直観的に認識したように、独自の私の孤立と弱みに耐えられない個人の場合、権力への意思や救済の探求は除外されない。
     ハインリヒ・マンの作品を目の前にすると、人間の世界は、繁栄と滅亡を繰り返す社会政治的な種別として構成され、政治、芸術そして人間的なものを幾重にも結びつけるすべを彼が心得えているところに、作家としての偉大さがある。そこで購読脳は、「真の人間性と多重性」にする。芸術家、戦争そして専制君主たちの偉大なる孤独は、彼らが自らを放出した社会で常に演じられている。 
     「真の人間性と多重性」が入力となる「Die Branzilla」の執筆脳は、「多層とニューラルネットワーク」である。双方をマージした際のシナジーのメタファーは、「ハインリヒ・マンと多重の綾」にする。

    花村嘉英(2020)「ハインリッヒ・マンの『Die Branzilla』の執筆脳について」より

  • ハインリッヒ・マンの「Die Branzilla」で執筆脳を考える1

    1 はじめに

     文学分析は、通常、読者による購読脳が問題になる。一方、シナジーのメタファーは、作家の執筆脳を研究するためのマクロに通じる分析方法である。基本のパターンは、まず縦が購読脳で横が執筆脳になるLのイメージを作り、次に、各場面をLに読みながらデータベースを作成し、全体を組の集合体にする。そして最後に、双方の脳の活動をマージするために、脳内の信号のパスを探す、若しくは、脳のエリアの機能を探す。これがミクロとマクロの中間にあるメゾのデータとなり、狭義の意味でシナジーのメタファーが作られる。この段階では、副専攻を増やすことが重要である。 
     執筆脳は、作者が自身で書いているという事実及び作者がメインで伝えようと思っていることに対する定番の読み及びそれに対する共生の読みと定義する。そのため、この小論では、トーマス・マン(1875-1955)、魯迅(1881-1936)、森鴎外(1862-1922)に関する私の著作を先行研究にする。また、これらの著作の中では、それぞれの作家の執筆脳として文体を取り上げ、とりわけ問題解決の場面を分析の対象にしている。さらに、マクロの分析について地球規模とフォーマットのシフトを意識してナディン・ゴーディマ(1923-2014)を加えると、“The Late Bourgeois World”執筆時の脳の活動が意欲と組になることを先行研究に入れておく。 
     筆者の持ち場が言語学のため、購読脳の分析の際に、何かしらの言語分析を試みている。例えば、トーマス・マンには構文分析があり、魯迅にはことばの比較がある。そのため、全集の分析に拘る文学の研究者とは、分析のストーリーに違いがある言語の研究者であれば、全集の中から一つだけシナジーのメタファーのために作品を選び、その理由を述べればよい。なおLのストーリーについては、人文と理系が交差するため、機械翻訳などで文体の違いを調節するトレーニングが推奨される。
     なお、メゾのデータを束ねて何やら予測が立てば、言語分析や翻訳そして資格に基づくミクロと医学も含めたリスクや観察の社会論からなるマクロとを合わせて、広義の意味でシナジーのメタファーが作られる。

    花村嘉英(2020)「ハインリッヒ・マンの『Die Branzilla』の執筆脳について」より

  • トーマス・マンの「魔の山」のバラツキについて7

    3 まとめ
     
     リレーショナル・データベースの数字及びそこから求めた標準偏差により、トーマス・マンの「魔の山」に関して部分的ではあるが、既存の分析例が説明できている。従って、この小論の分析方法、即ちデータベースを作成する文学研究は、データ間のリンクなど人の目には見えないものを提供してくれるため、これまでよりも客観性を上げることに成功している。

    【参考文献】
    花村嘉英 計算文学入門-Thomas Mannのイロニーはファジィ推論といえるのか? 新風舎 2005
    花村嘉英 森鴎外の「山椒大夫」のDB化とその分析 中国日语教学研究会江苏分会 2015a
    花村嘉英 从认知语言学的角度浅析鲁迅作品-魯迅をシナジーで読む 華東理工大学出版社2015
    花村嘉英 日语教育计划书-面向中国人的日语教学法与森鸥外小说的数据库应用
     日本語教育のためのプログラム-中国語話者向けの教授法から森鴎外のデータベースまで
     南京東南大学出版社 2017

    花村嘉英 从认知语言学的角度浅析纳丁・戈迪默 ナディン・ゴーディマと意欲 華東理工大学出版社 2018

  • トーマス・マンの「魔の山」のバラツキについて6

    2.2 標準偏差による分析

     グループA、グループB、グループC、グループDそれぞれの標準偏差を計算する。その際、場面1、場面2、場面3の特性1と特性2のそれぞれの値は、質量ではなく指標であるため、特性の個数を数えて算術平均を出し、それぞれの値から算術平均を引き、その2乗の和集合の平均を求め、これを平方に開いていく。
    求められた各グループの標準偏差の数字は、何を表しているのだろうか。数字の意味が説明できれば、分析は、一応の成果が得られたことになる。 

    ◆グループA:五感(1視覚と2その他)
    場面1(特性1、5と特性2、0)の標準偏差は、0となる。
    場面2(特性1、0と特性2、5)の標準偏差は、0となる。
    場面3(特性1、1と特性2、4)の標準偏差は、0.4となる。
    【数字からわかること】
    場面1、場面2、場面3を通して、視覚情報に偏りがあるため、「魔の山」は、五感の情報にバラツキがある作品といえる。
    ◆グループB:ジェスチャー(1直示と2隠喩)
    場面1(特性1、0と特性2、5)の標準偏差は、0となる。
    場面2(特性1、2と特性2、3)の標準偏差は、0.49となる。
    場面3(特性1、3と特性2、2)の標準偏差は、0.49となる。
    【数字からわかること】
    場面1、場面2、場面3を通して、比喩が多い作品といえる。

    ◆グループC:情報の認知プロセス(1旧情報と2新情報)
    場面1(特性1、1と特性2、4)の標準偏差は、0.4となる。
    場面2(特性1、0と特性2、5)の標準偏差は、0となる。
    場面3(特性1、1と特性2、4)の標準偏差は、0.4となる。
    【数字からわかること】
    場面1、場面2、場面3を通して、新情報の2が多いため、講演の場面は、ストーリーがテンポよく展開していることがわかる。

    ◆グループD:情報の認知プロセス(1問題解決と2未解決)
    場面1(特性1、2と特性2、3)の標準偏差は、0.49となる。
    場面2(特性1、2と特性2、3)の標準偏差は、0.49となる。
    場面3(特性1、3と特性2、2)の標準偏差は、0.49となる。

    【数字からわかること】
    「魔の山」は、場面1、場面2、場面3を通して問題未解決が多いため、時間をかけて調節する時間の小説であることがわかる。

    花村嘉英(2018)「トーマス・マンの「魔の山」から見えてくるバラツキについて」より

  • トーマス・マンの「魔の山」のバラツキについて5

    場面3
     ”Sie scheinen überrascht, mich zu sehen, Herr Castorp”, hatte er mit baritonaler Milde, schleppend, unbedingt etwa geziert und mit einem exotischen Gaumen-r gesprochen, das er jedoch nicht rollte, sondern durch ein nur einmaliges Anschlagen der Zunge gleich hinter den oberen Vorderzähnen erzeugte;
    A2B1C2D1
    “ich erfülle aber lediglich eine angenehme Pflicht, wenn ich bei Ihnen nun auch nach dem Rechten sehe. Ihr Verhältnis zu uns ist in eine neue Phase getreten, über Nacht ist aus dem Gaste ein Kamerad geworden…” (Das Wort “Kamerad” hatte Hans Castorp etwas geängstigt.)
    A2B2C2D1
     ”Wer hätte es gedacht!” hatte Dr. Krokowski kameradschaftlich gescherzt… “Wer häte es gedacht an dem Abend, als ich Sie zuerst begrüßen durft und Sie meiner irrigen Auffassung – damals war sie irrig – mit der Erklärung begegneten, Sie seien vollkommen gesund.”
    A2B1C2D2
    Ich glaube, ich drückte damals etwas wie einen Zweifel aus, aber, ich versichere Sie, ich meinte es nicht so! Ich will mich nicht scharfsichtiger hinstellen, als ich bin, ich dachte damals an keine feuchte Stelle, ich meinte es anders, allgemeiner, philosophischer, ich verlautbarte meinen Zweifel daran, daß ‘Mensch’ und ‘vollkommene Gesundheit’ überhaupt Reimworte seien.
    A1B2C2D2
    Und auch heute noch, auch nach dem Verlauf Ihrer Untersuchung, kann ich, wie ich nun einmal bin, und im Unterschied von meinem verstehten Chef, diese feuchte Stelle da”- und er hatte mit der Fingerspitze leicht Hans Castorps Schulter berührt – ” nicht als im Vordergrunde des Interesses stehend erachten. Sie ist für mich eine sekundäre Erscheinung…Das Organische ist immer sekundär…”
    A2B1C2D1
    “Und also ist Ihr Katarrh in meine Augen eine Erscheinung dritter Ordnung”, hatte Dr. Krokowski sehr leicht hinzugefügt.
    A2B1C2D1

    花村嘉英(2018)「トーマス・マンの「魔の山」から見えてくるバラツキについて」より

  • トーマス・マンの「魔の山」のバラツキについて4

    場面2
     Dieser Widerstreit zwischen den Mädchen der Keuschheit und der Liebe – denn um einen solchen handle es sich -, wie gehe er aus? Er endige scheinbar mit dem Siege der Keuschheit.
    A2B2C2D1
     Furcht, Wohlanstand, züchtiger Abscheu, zitterndes Reinheitsbedürfnis, sie unterdrückten die Liebe, hielten sie in Dunkelheiten gefesselt, ließen ihre wirren Forderungen höchstens teilweise, aber bei weitem nicht nach ihrer ganzen Vielfalt und Kraft ins Bewußtsein und zur Betätigung zu.
    A2B2C2D1
     Allein dieser Sieg der Keuschheit sei nur ein Schein- und Pyrrhussieg, denn der Liebesbefehl lasse sich nicht knebeln, nicht vergewaltigen, die unterdrückte Lieben sei nicht tot, sie lebte, sie trachte im Dunklen und Tiefgeheimen auch ferner sich zu erfüllen, sie durchbreche den Keuschheitsbann und erscheine wieder, wenn auch in verwandelter, unbekenntlicher Gestalt…
    A2B2C2D2
     Und welches sei denn nun die Gestalt und Maske, worin die nicht zugelassene und unterdrückte Liebe wiedererscheine? So fragte Dr. Krokowski und blickte die Reihen entlang, als erwarte er die Antwort ernstlich von seinem Zuhörern. Ja, das mußte er nun auch noch selber sagen, nachdem er schon so manches gesagt hatte. Niemand außer ihm wußte es, aber er würde bestimmt auch dies noch wissen, das sah man ihm an.
    A2B1C2D2

    花村嘉英(2018)「トーマス・マンの「魔の山」から見えてくるバラツキについて」より